【図解】東日本大震災から10年の歩みと未来 - Yahoo! JAPAN

あれから10年。

それは、被災者にとって新しい生活を取り戻す
「再生」の時である一方、
また日本のどこかで大地震が起きるまでの
カウントダウンの時でもある。

東日本大震災から私たちは何を学び、
どのように備えればいいのか。
数々の資料から、
改めて震災からの10年間を見つめ直し、
災害大国日本の「これから」を考えたい。
2021年3月4日掲載
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9日のM7.3の地震をはじめいくつかの前震やスロースリップ(※)に続き、日本中が震撼(しんかん)した本震が起きる。

※普通の地震によるプレートのすべりより、かなりゆっくりとした速度で進行する地震のこと

201131114:46

 

マグニチュード9.0、
震源の深さ24kmの巨大地震
写真:岩手県普代村
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」と命名されたこの地震の規模は、国内観測史上最大。マグニチュード(地震規模)は9.0で、1995年の阪神・淡路大震災の7.3を大きく上回り、宮城県栗原市では震度7を記録した。
激しい揺れはあらゆる物を崩し、巨大な津波に襲われた東北地方の街は、住宅、田畑、車、あたり全体が白波にのみ込まれた。そして、大規模火災が発生。未曽有の被害が広がった。

震災

  • 地震
  • 津波
  • 被害

東日本大震災における
各地の震度

震源域は岩手県沖から茨城県沖まで及び、長さ500km、幅約200kmの断層が最大20~30m(海溝軸では50m)ずれ動いて破壊された。地震波検知から8.6秒後、気象庁は東北5県に緊急地震速報を発表。東日本を中心に、北海道から九州まで広い範囲を激しい揺れが襲った。

出典:気象庁「災害時地震・津波速報 平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震」

世界の巨大地震
(1900年〜2020年)

    東日本大震災は世界的に見ても、1900年以降、記録に残るものとして4番目の規模だった。そのあまりに巨大な地震に対してマグニチュードが飽和、当初はマグニチュード7.9と発表、2日後に確定値として日本観測史上最大規模の「9」に修正された。

    出典:アメリカ地質調査所のデータを参考に作成


    震災

    • 地震
    • 津波
    • 被害

    大津波警報
    (2011年3月11日14時49分発表 ※本震から3分後)

      気象庁は最初の津波警報・注意報を地震発生から3分後に発表。しかし、このときは宮城県で「6m」と予想されたのが最大で、第2報で「10m以上」と更新されたのは発生から28分後のことだった。そして、その後も大津波警報の対象エリアが拡大していった。

      出典:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で発表した津波警報・注意報について

      実際の津波の高さ

      超巨大地震によって発生した大津波。津波観測点で記録された最高値は、福島県相馬市で9.3m以上だった。津波は、北海道から東北、関東地方の太平洋沿岸を中心に広い範囲に押し寄せたほか、日本海側やハワイ、北米にまで到達した。

      出典:気象庁 災害時地震・津波速報 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震 平成23年8月

      最大の津波の高さ
      推定16.7m(岩手県大船渡市)

      津波の痕跡などから気象庁が推定した津波高の最高値は、岩手県大船渡市の16.7m。遡上高(津波が陸に駆け上がった最高到達高度)は40m以上。もし、同じ高さの津波が東京・銀座に押し寄せたら。ソニービルの壁面に掲げられた巨大広告で、その位置が赤い線で示された。


      震災

      • 地震
      • 津波
      • 被害

      被害の状況 – 人的被害

      写真:アフロ

      死者・行方不明者の99%以上が岩手、宮城、福島の3県に集中しており、死因の9割以上が「溺死」。大津波による被害の大きさを表している。特に多くの高齢者が犠牲となり、死者のおよそ7割が60歳以上だった。

      出典:消防庁 「平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について」

      被害の状況 – 住宅被害

      写真:岩手県建設業協会

      住宅被害の大多数が津波によるもので、宮城県南三陸町で住宅の約6割が全壊するなど、太平洋沿岸部の市街地は壊滅的な被害を受けた。また、地震の揺れによる被害は旧耐震基準の建物に多い一方、体育館や空港などの施設で天井落下や家具什器の転倒などが相次いだ。

      出典:消防庁 「平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について」

      被害の状況
      – 火災による被害
      写真:宮城県気仙沼市

      東日本大震災では、火災でも極めて大きな被害が出ている。消防庁によると、地震や津波に起因する火災は計330件。東北を中心に北海道から関東にかけた広い範囲で、特に「津波被害地域」「宮城県、福島県、茨城県などの震度5以上の地域」「首都圏の都市部」で多く発生した。

      主に東北で起きた大規模な市街地火災や林野火災は、津波に起因する「津波火災」からもたらされた。津波で浸水した沿岸部の家屋や車が海水で漏電やショートし発火。炎上した漂流物が津波によって河川を上り、内陸部の市街地、さらには森林までをも焼き尽くした。

      出典:消防庁 東日本大震災記録集

      被害の状況
      – ペットの被害
      写真:アフロ

      東日本大震災によって被害を受けたのは人だけではなく、多くの小さな命も犠牲になった。当時はペットと一緒に避難する「同行避難」の考え方が浸透していなかったことから、ペットを置いて避難した飼い主も多く、特に福島県では原発事故による「避難区域」の設定で、ペットを自宅や屋外に残して避難せざるを得ない状況だった。そのため、はぐれたたくさんのペットが津波に流され、あるいは放浪状態となったのだ。
      ペットと一緒に避難した場合でも、避難先での扱いに苦慮するなどして、仕方なく手放す例は少なくなかった。しかし、後に行われたアンケートの結果から、ペットの存在が災害時に飼い主の心を救うことなどがわかり、この大震災ではペット同行避難の重要性も教えられた。

      もっとも、2016年に発生した熊本地震でも、ペットの避難所での受け入れに関してはトラブルが相次いだ。発災直後はマンパワーが不足し、現場の受け入れ態勢が整わず、やむなく避難所を後にする飼い主も多かったという。

      現在、国内で飼われている犬や猫は約1845万頭(2017年)と推計される。災害から彼らを守るために何より重要なのは、日ごろの備えである。所有者を明示する迷子札やマイクロチップの装着、餌の備蓄やケージの用意、集団生活に必要なしつけなどの備えをしておくことが、ペットの命を救うことになる。

      参考:環境省「東日本大震災における被災動物対応記録集」

      被害の状況
      – 関東の被害

      首都圏でも、最大で震度6強の揺れが観測され、東京23区の多くで震度5弱以上の揺れを記録。東京湾岸などでは、広い範囲にわたって液状化現象が発生し、噴砂や浸水も起きた。さらに、津波被災などで多くの発電所が運転停止となったため、約2週間の計画停電が実施された。首都直下地震が予測されるなか、都市の脆弱性(ぜいじゃくせい)が露呈した。

      出典:国土交通省「首都圏における東日本大震災の被害状況について」

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      本震の後も、大きな余震がいくつも発生。東北の沿岸部に押し寄せる大津波は、人々の生活をのみ込み、そして福島第一原発に襲いかかった。

      201131119:03

       

      東京電力
      福島第一原子力発電所で事故発生
      写真:時事通信社
      震災発生から約2時間後の午後4時36分、福島第一原発で起きた津波浸水に伴う全電源喪失の結果、3基がメルトダウン(炉心溶融)するという世界最悪レベルの事故が起きた。事故評価は、チェルノブイリ事故(1986年)と並ぶ「レベル7」。放射性物質が大量放出された周辺地域には「避難指示」が出され、住民たちは長期の避難生活を余儀なくされた。事故を踏まえて、日本の原子力政策は大きく変わることになる。

      警戒区域・計画的避難区域から帰還困難区域へ

        事故直後に設定された立ち入り禁止の「警戒区域」や「計画的避難区域」は、「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」「帰還困難区域」に整理されて徐々に解除されていったが、いまもすべての帰還困難区域に戻れる見通しは立っていない。

        参考:経済産業省・福島市のデータを参考に作成

        全国の原子力発電の現状
        (2021年1月4日時点)

        震災時に54基あった原発は、事故後に21基の廃炉が決まった(事故前に3基)。残り33基のうち、いまも24基が止まったままで、事故後に定められた新規制基準をクリアして再稼働した原発は9基のみ。それも西日本に集中している。

        参考:経済産業省資源エネルギー庁「日本の原子力発電所の状況」

        日本の電源構成の推移(供給)

        事故後、国内の原発は約2年間の全基停止となり、日本の電源構成にも変化が表れた。足りない電力を賄うため、火力発電の比率が増加。2012年に創設された「固定価格買取制度(FIT)」によって、再生可能エネルギーの導入も加速している。

        出典:経済産業省資源エネルギー庁 「総合エネルギー統計」

        エネルギー政策の方向性

        化石燃料を使用する火力発電は環境面で課題があるうえに、燃料を輸入に頼るため、エネルギー自給率の問題も生じている。政府は2030年の電源構成について、火力発電の依存度を下げる一方、原子力の比率を再び22~20%まで増やすのが望ましいとしている。

        出典:経済産業省資源エネルギー庁「2020—日本が抱えているエネルギー問題(後編)」

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        地震と津波被害の甚大さから、ボランティアが本格的に被災地入りしたのは1カ月近くが経過してからだった。この間、「くしの歯作戦」と呼ばれる道路啓開作戦が成功し、救援物資が届けられた。

        201153日ごろ

         

        ゴールデンウイークを活用した
        ボランティアが急増
        写真:宮城県七ヶ浜町

        震災直後は交通事情が悪く、さらに福島第一原発事故に対する不安があったため、ボランティアは不足していた。しかし、1カ月近く経つと交通が整い、全国各地から大勢の人が被災地に集まった。5月には、被災3県のボランティア数は延べ18万2346人を数え、支援の輪は拡大。救援物資も大量に送られた。しかし、せっかくの物資が必要とする被災者のもとに届かない。そこには、どんな課題が残ったのだろうか。


        支援

        • 物的・人的・心理的支援
        • 金銭的支援
        法改正につながった
        「支援の課題」
        写真:岩手県野田村

        未曽有の災害に、被災自治体は大混乱に陥った。通信手段は断絶し、物資の情報や支援のニーズも正確に把握できない。さらには、大量の物資が被災地に送り込まれる一方で、人手が不足し、支援物資の仕分けや在庫管理に混乱が生じた。東日本大震災で起きたいちばんの問題は、自治体自体が被災して支援の受け入れ体制(受援体制)が整わなかったことだった。
        そして、支援物資を送っても、必要な人に届かない「被災地の物資不足」という深刻な問題が浮かび上がり、自治体が主体的に“SOSを発する”ことが前提だったそれまでの体制から、国が初めて支援物資の調達・輸送を実施することになった。この経験を踏まえて、2012年に災害対策基本法が改正。これにより、被災した自治体からの要請を待たないで、国が必要と見込まれる物資などを被災地に緊急輸送する「プッシュ型支援」を行えるようになり、その手法は2016年の熊本地震で初めて本格的に実施された。

        救援物資が届かない?その問題点


        東日本大震災において、一部地域では1週間経っても食料などの支援物資が不足する事態が生じた。

        必要とされる支援とタイミング

        被災者の支援には、マンパワーを提供する「人的支援」、物資を提供する「物的支援」、お金を支援する「金銭的支援」などがあるが、前提として「心の支援」がなくてはならない。被災地において、その時々でどんな支援が必要とされているのか。被災者の心情に寄り添い、ニーズとタイミングを把握することが、的確な支援活動につながる。

        支援

        • 物的・人的・心理的支援
        • 金銭的支援

        日本における寄付金額と寄付者数の推移

        震災前は年間5000億円前後で推移していた国内の個人寄付の総額は、震災を機に7000億円を超えるようになった。日本人の「寄付意識」の高まりが見てとれる。

        「寄付白書2017」10、11ページ(日本ファンドレイジング協会)

        日米英韓の個人寄付総額と名目GDPに占める割合
        (2016)

        寄付大国と呼ばれるアメリカでは、日本のほぼ40倍の個人寄付が行われている。人口が日本の半分以下の韓国でも、個人寄付総額は日本と同程度。名目GDPに占める寄付総額の割合には、大きな隔たりがある。

        「寄付白書2017」11ページ(日本ファンドレイジング協会)

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        義援金や支援チームの派遣など、海外からも力強い支援が届いた。一方、政府は発災直後に緊急災害対策本部を設置。本格的な復興に向けて6月24日には復興対策本部を置き、財源確保の検討を始めた。
        20111130

         

        税金などを財源として
        国全体で復興に取り組むことに
        写真:東北地方整備局
        大震災によって街は壊滅的なダメージを受け、人々は生活の基盤を失った。いかにして災害に強い地域を再建するか。復興のために必要な巨額の財源は「復興財源確保法」に基づいて確保された。
        財源のうちもっとも割合が多いのは、個人に課される所得税と住民税、そして法人に課される法人税の「復興増税」分で、国を挙げて復興が進められた。

        復興関連予算の執行状況
        (平成23年度〜令和元年度)

        復興のため、震災以降2019年度までに投じられた関連予算は総額約36兆円(原発対策費用は含まず)。もっとも多いのが住宅や道路など地域の再建にかかわる分野で、全体の約35%を占める約13兆円がその事業にあてられた。

        被災地において、特に重要課題となっているのが公共インフラ再建だ。これまで、津波から街を守るための堤防を設置するなどの海岸対策や河川対策、失われた交通網や宅地の整備などに力が注がれてきた。

        出典、参考:復興庁「令和元年度東日本大震災復興関連予算の執行状況について」
        「公共インフラの本格復旧・復興の進捗状況(令和2年9月末時点)」

        海岸・河川対策など
        「安心/安全」の基盤整備

        津波防災対策の基本的な考え方

        津波対策は二つのレベルの津波を想定して講じられている。一つ目は、発生頻度が比較的高い「L1津波」。二つ目は、発生頻度は低いが大きな被害をもたらす最大クラスの「L2津波」。L1は海岸堤防などのハード対策を考えた「防災」、L2は「避難」などのソフト対策を考えた「減災」を前提としている。

        出典、参考:国土交通省「東日本大震災を踏まえた津波防災対策の基本的な考え方」

        海岸堤防の高さ

        被災6県における海岸堤防などの海岸対策は、621カ所すべてが着工済み。このうち75%(465カ所)が完了済みである。河川堤防の復旧などの河川対策も着々と進んでおり、全3188カ所のうち98%(3139カ所)で完了した(2020年9月末時点)。

        出典:国土交通省「岩手県・宮城県・福島県の海岸堤防の高さ(参考)令和2年3月末時点」

        道路・鉄道など交通関係

        復興道路・復興支援道路

          復興を後押しするために三陸沿岸部で国が整備を進めるのが、自動車専用道「復興道路」「復興支援道路」だ。全長570kmの道路網は、その一部が防潮堤の役割を果たし、津波到来時の避難場所としても機能するように設計されている。2020年9月末時点で80%(457km)が完成、2021年度内の全線開通を目指している。

          鉄道に関しても、2020年3月にJR常磐線が9年ぶりに全線で運転再開するなど、被災地の交通インフラはおおむね整備され、防災はもちろん、観光や産業の動脈としても効果が期待されている。

          出典、参考:国土交通省「(参考)岩手県・宮城県・福島県の海岸堤防の高さ※令和2年3月末時点」

          宅地開発・公共住宅など
          まちづくり関係

          高台集団移転

          特に津波被害が大きかった沿岸部では、高台への住宅移転と宅地のかさ上げ(陸前高田など)が進められてきた。この事業では、東北3県を中心とした27市町村324地区が住宅団地を整備、民間宅地8389戸分と災害公営住宅4166戸分の造成が行われ、2020年3月末で完了。防災緑地・防災林なども合わせたハード事業と避難などのソフト対策を組み合わせた「多重防護」による津波災害に強い地域づくりも進められている。

          出典、参考「宮城県震災復興計画」

          安心安全とまちづくりのはざまで
          そびえ立つ防潮堤と、
          海の見えない町

          東北沿岸で津波や高潮などから住民の「安全」を守る防潮堤。総延長約440km、総工費1兆円以上を投じて建設が進められている“巨大な壁”には、観光や漁業への影響を心配する声も上がっている。海が見えず、街の景観が損なわれるのではないか。建設の影響で海藻が減少するなど深刻な影響が出るのではないか。
          そんななか、宮城県女川町は防潮堤を造らず、美しい海を望む町をつくるという選択をした。国交省によると、行政と住民の議論によって、計画された621カ所の約3割にあたる197カ所の海岸堤防について、高さを下げたり、位置を変更したりするなどの見直しが行われたという。
          復興が目指すところは、「人が暮らす町」でなくてはならない。それを実現するには、ハード面だけでなく、ソフト面も見越した総合的な視点を持つ必要があるだろう。

          出典、参考:国土交通省「地域の状況に応じた海岸堤防の高さ等の見直し」他

          回復・復旧の実感

          仙台市の地域情報コミュニティーサイト「machico」が地域住民を中心に実施している意識調査では、震災からの回復・復旧について「実感している」人は、2013年の計52.2%から2020年は計77.8%と大きく前進した。

          出典:せんだいタウン情報machico「震災に関する意識調査2020」

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          行政主導で復興が進められるなか、被災地での暮らしはどのように変化していったのか。この10年で、避難を余儀なくされた人々の生活の再建はどれぐらい進んだのだろうか。
          20111215

           

          県外への避難、仮設住宅への
          入居など
          多くの被災者が
          長期の避難生活を強いられた
          写真:宮城県七ヶ浜町

          地震や津波、原発事故などで、ことごとく失われた住まい。復興は急ピッチで進められたが、それでも避難生活が長引く人は少なくなかった。

          発災から3日目のピーク時には約47万人にも上った避難者数は、その後、どのように推移していったのか。そして、いまなお避難生活を余儀なくされている人はどれくらいいるのだろうか。

          被災3県 仮設住宅の入居者数推移
          ※各年1月の数

          プレハブの応急仮設住宅に入居する避難者数は、震災翌年には12万人近かったが、「災害公営住宅」の整備や、民間から住宅を借り上げて供与する「応急借上げ住宅」の活用などとともに年々減少。しかし、2020年3月時点で700人以上が、いまだ転居先が決まらず仮設暮らしを続けている。

          出典:岩手県「年度別応急仮設住宅、みなし仮設住宅の被災者の状況」、福島県「応急仮設住宅・借上げ住宅・公営住宅の進捗状況」、宮城県「年度別応急仮設住宅の入居状況」

          東日本大震災
          避難者数の推移

          全国の避難者は、復興の進展とともに年々減少している。一方で、減少幅は2017年ごろから鈍化しており、とくに県外避難者が被災地に戻ってきていない傾向がうかがえる。復興庁によると2021年1月13日現在の全国の避難者数は約4万2000人。うち被災3県からの県外避難者は約3万4000人で、福島県からが86%を占める。

          出典:全国避難者数(各年12月の発表数値を元に算出)復興庁

          避難者の分布
          (2020年12月8日現在)

          北海道から沖縄まで全国に散らばっている避難者だが、被災3県からは東北や関東に集中している。特に県外避難者が多い福島県からは、新潟県や茨城県などの隣接県や、東京都、埼玉県などに約75%の人が避難している。

          出典:全国避難者数(令和2年12月25日)復興庁

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          住まいの再建、インフラの復旧、産業の再生。被災地では、総力を挙げた復興が進められていた。しかし、その瞬間にも、日本列島の地下深くでは、また大きな力が生まれようとしていた。
          201641421:26

           

          最大震度7の大地震が再び日本を襲う

          熊本地震の約2年後には、近畿の都市部を新たな地震が襲う。6万6000基のエレベーターが緊急停止するなど、大都市の課題が浮かびあがる。

          201861807:58

           

          関西でも最大震度6弱の地震

          北海道では史上初となる震度7の地震が発生する。大規模な土砂崩れや、液状化現象など、北の大地に大きな傷あとを残すことになる。

          20189603:07

           

          最大震度7の地震で北海道全域が停電、
          ブラックアウトが起きる
          写真:アフロ

          改めて言うまでもなく、世界有数の地震大国である日本では、東日本大震災以降もこれだけ多くの大きな地震が発生している。 ある日、突然、日常があっという間に崩れ去る。この国に暮らす私たちは、この現実に向き合い、過去の震災を教訓に、日ごろから災害に備えて暮らす必要がある。果たしていま、私たちはその準備ができているだろうか。

          防災の重要な三要素

          災害発生時には、自分や家族の命を守る「自助」、隣人や地域の人と助け合う「共助」、行政機関などによる公的支援の「公助」の三つが柱になる。そのうち、自助で助かる命が7割といわれており、そこでは「事前の備え」が重要になってくる。

          防災のための事前準備

          ハザードマップの活用実態

          ハザードマップの活用などで、災害を受ける恐れがある場所や、被害の程度を事前に把握できている人はどれぐらいいるのか。「(一社)防災ジオラマ推進ネットワーク」のアンケート(2019年1月)では図のような結果となり、約半数が見たこともないという状況となっている。

          出典:(一社)防災ジオラマ推進ネットワーク「ハザードマップに関するアンケート」

          ハザードマップの種類

          ハザードマップは、地震や津波など自然災害が発生した場合の被害の範囲・程度、避難経路、避難場所などの防災情報が掲載された地図。印刷物は役所や公民館で配布されているほか、最近ではデジタル版をホームページやアプリで公開している自治体もある。
          身のまわりの危険地点や避難場所・防災施設を事前に確認しておくことが重要である。

          ゆれやすさマップと防災まちあるき

          同じ地震でも震源に近く柔らかい地盤は揺れが大きく、震源から離れた堅い地盤は揺れが小さい。それを示した「ゆれやすさマップ」は、ハザードマップと一緒に確認すると効果的。また、ハザードマップを見ながら住んでいる街を探索し、危険な場所や防災施設などを知る「防災まち歩き」も、いざというときのシミュレーションになる。

          出典:ゆれやすさマップ(東京都)

          住宅における
          負傷要因割合

            地震の際に室内で負傷する原因としてもっとも多いのは、家具の転倒や落下だ。熊本地震(2016年)における室内被害の調査では、高層マンションは戸建てよりも大きく揺れるため被害が大きく、片付け中に負傷する割合も高い。一方で約6割の世帯で転倒対策が取られていなかった。将来、起こりうる地震に対しても、備えが必要だ。

            出典:平成28年(2016年)熊本地震に伴う室内被害の実態調査結果

            家具の転倒対策例

            家具の転倒を防ぐためには、まず、家具に収納されている重い物を低い位置に移動させて重心を下げ、次に、転倒防止器具などで家具を固定して、倒れにくくしておくといい。上下に分かれるタイプの家具なら、金具などを使い連結しておくことも重要だ。

            出典:東京都防災ホームページ「自宅での家具類の転倒・落下・移動防止対策」

            地震と建築物

            日本では大きな地震が起きるたびに建物にまつわる法令などを見直し、強化してきた。地震による建物倒壊などを防ぐため、国や自治体ではさまざまな支援制度を設け、耐震化の促進を図っている。

            住宅の耐震化

            住宅の耐震化は進んでいるものの、その進捗率は芳しくない。今後、耐震化率を上げていくためには、一人ひとりが耐震化への意識を高めることが重要だろう。加えて、住宅は時の経過とともに劣化するため、定期的な点検や整備を欠かさず、地震保険など経済的な備えも整えておくと安心だ。

            出典:国土交通省「住宅の耐震化の進捗状況」「建築物の耐震化の進捗状況」

            情報収集に利用した手段の変化(東日本大震災と熊本地震の比較)

            災害時の情報収集の手段は、時代とともに大きく変化している。東日本大震災ではラジオや携帯ワンセグ、防災行政無線が活用されたが、熊本地震では携帯通話や携帯メール、SNSなどのパーソナルコミュニケーションの利用が目立った。併せて、日ごろから家族との連絡手段を確認しておくことが重要だ。

            出典:総務省「熊本地震におけるICT利活用状況に関する調査」(平成28年)

            防災グッズの準備率

            災害に備えてまず用意しておきたいのが、防災グッズだ。東日本大震災以降、家庭での防災グッズの準備率は全体的に上昇しており、「LINEリサーチ」がユーザーを対象に実施した調査(2020年9月)では、上位のランキングのグッズに加えて、非常食や除菌用品、カセットコンロ、救急セット、ライター・マッチなどの割合が多かった。

            出典:LINEリサーチ

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            世界でも有数の地震多発地帯である日本。いまどこかで地震が起きているかもしれないし、いつどこでまた大地震が起きてもおかしくない。 そう、この国で暮らす以上、震災は決して人ごとではない。

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            近い将来マグニチュード7クラス、
            9クラスの
            地震が発生する可能性あり
            写真:アフロ

            地震に終わりはなく、今日、明日にでも再び東日本大震災クラスの震災が起こるかもしれない。
            ただ、地震が発生することは防ぎようがないが、その被害は私たちの生活の仕方によって最小限に抑えることができる。予想されている巨大地震に対して、私たちはどう対応すればいいのか。「首都直下地震」「南海トラフ地震」という二つの巨大地震について整理しておこう。

            首都直下地震の
            想定被害規模

            写真:アフロ

            関東大震災(1923年)から約100年。マグニチュード7クラスの地震が、30年以内に首都圏のどこかで起こる確率は70%と予測されている。最悪の場合、死者はおよそ2万3000人、経済的被害はおよそ95兆円と想定され、被害規模は東日本大震災を超える。さらに、マグニチュード8クラスの最悪ケースも0〜2%と推定されている。

            出典:内閣府「特集首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」

            首都直下地震の
            想定震度分布例(一部)

              首都直下地震は、震源地、地震の規模、揺れ方について、いくつかのパターンが想定される。うち6つについて、想定震度分布を、予想されるモーメントマグニチュード(より精度の高い地震の規模の指標値)とともに示した。

              出典:内閣府「首都直下地震の被害想定対策のポイント」

              ある冬の日の夕方、
              都心南部直下地震が発生(内閣府より)

              もう一つの予測される地震
              南海トラフ地震とは

              駿河湾から四国沖にかけた水深約4000mの海底に広がる巨大な溝、南海トラフ。プレートの境界にあたるこのトラフでは、巨大地震がおおむね100〜150年間隔で繰り返し発生している。前回の地震発生から70年以上が経過し、警戒感は高まっている。

              南海トラフ地震の想定津波

              南海トラフ地震で引き起こされる津波は、被害範囲・最大津波高ともに、最悪、東日本大震災の約2倍と推定される。しかも津波(1m)の最短到達時間は、静岡、和歌山、三重、高知、徳島の各県で10分以内と予想され、迅速な避難が必要になる。

              出典:国土交通省、内閣府の資料を元に作成

              南海トラフ地震の
              想定被害規模

              写真:アフロ

              最大でマグニチュード9クラスの地震が発生。広域で強い揺れが発生し、同時に10mを超す大津波が襲来する。大規模な火災のほか、停電、断水、食料不足などライフラインも大きなダメージを受け、被害は東日本大震災をはるかに上回ると見込まれている。

              出典:内閣府「南海トラフ巨大地震対策について(最終報告)」

              南海トラフ地震の
              震度分布

              被害想定では、静岡県から宮崎県にかけての震度7、その周辺の広い地域で震度6弱から6強の強い揺れになるケースを指摘。過去には南海トラフの東側と西側が連動した形で、数日間から数年間の範囲の時間差で次々と巨大地震が発生した事例もあり、より一層の警戒が必要だ。

              出典:内閣府「南海トラフ巨大地震対策について (最終報告)」

              ある冬の日の夕方、
              南海トラフでM9クラスの 巨大地震が発生(内閣府より)

              南海トラフ地震での減災
              効果 – 住宅被害編 –

              住宅の耐震化を進め、全国平均約82%(2013年)の耐震化率を100%まで上げれば、建物倒壊による死者数を2割に減らせると見込まれている。また、家具などの転倒・落下防止策を強化することで、それによる死者数を最大3分の1まで抑えることができる。 ただ、建物倒壊による死者数は全体の1割強であり、耐震化や家具の転倒・落下対策をすることで負傷などのリスクを避け、津波避難を迅速に行うことがより重要となる。

              出典:内閣府「南海トラフ巨大地震の被害想定について(第一次報告)」

              南海トラフ地震での減災
              効果 – 津波編 –

              発災後、迅速に被災者全員が避難を開始すれば、津波による死者数は大幅に減る。さらに早期避難に加えて、指定された「津波避難ビル」が効果的に活用されれば、死者数は23%まで減らせると見込まれている。

              出典:内閣府「南海トラフ巨大地震の被害想定について(第一次報告 」

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              2万人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災から10年。復興は大きく進み、多くの被災地ではかつての活気を取り戻しつつある。

              しかし、失ったものがすべてよみがえるわけではない。人々はそれぞれの思いを抱えながら、新しい生活を積み上げてきた。そこには、計画やデータでは表すことができない、被災者一人ひとりの「10年」、そして「これから」がある。

              大事なことは「現実を見る」こと。その上で地震という不可避なものに対して、自分自身で対策を取ること。

              そこでは「ビルド・バック・ベター」、つまり、かつてよりも良い形で復興するという考え方のなかで「防災」を再構築していくことが重要であり、想定される巨大地震に向けて一人ひとりが事前対策を徹底するしかない。

              10年目を間近に控えた2021年2月13日には東北地方で震度6強の地震が発生。福島県だけでも3,300棟を超える住宅被害、100人以上の負傷者が出るなど、地震の怖さを改めて思い知ることになった。この機会に、私たちは改めて震災を振り返り、被災地に思いをはせ、予測される大災害に備えることで、「防災大国」としての新たな一歩を踏み出していきたい。

              企画・構成:Yahoo! JAPAN

              文:THE POWER NEWS

              監修:福和伸夫(名古屋大学減災連携研究センター、センター長・教授)/中澤幸介(リスク対策.com編集長)

              デザイン:KAZAK, Inc.

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