公開日:2021年9月27日
構成・文:Yahoo! JAPAN 制作協力: 神奈川歯科大学 歯科医師 槻木 恵一・日本歯科医師会

コロナ禍による外出自粛や在宅勤務などで歯医者へ行きづらくなってしまったり、マスク生活が続くことで、みなさまの口腔(こうくう)環境の悪化が懸念されています。
この記事では、そんな今だからこそ見直したい口腔ケアについて解説します。

コロナ禍で口腔環境悪化の傾向

厚生労働省の統計によると2020年4月~5月に歯科を受診した患者数は前年同月比約30%減となっており、コロナ禍の影響で必要な治療や検査を受けていない人が増えたことがわかりました。
また日本歯科医師会の調査(※1)によると、在宅勤務など生活スタイルの変化によって間食が増加した、あるいは会話の減少で口を動かすこと自体が減ったという結果があります。間食の増加や口を動かさないことは、いずれも口腔環境の悪化につながる要因です。
※1 出典:日本歯科医師会「歯科医療に関する一般生活者意識調査」 (外部サイト)

マスク生活で口腔環境に変化

コロナ禍でマスクを毎日・長時間着用する生活が一般的になりました。このマスク生活は、口腔環境に大きな変化を起こしています。その主な要因が「呼吸の仕方」です。

マスクの着用で息苦しくなり、無意識に「口呼吸」になっている場合があります。鼻呼吸は鼻毛や粘液がフィルターのような役割となって細菌やウイルスをブロックしてくれますが、口呼吸はフィルターがないため直接異物が入りやすくなります。
また唾液には粘膜を保護する潤滑作用、抗菌・抗ウイルス作用がありますが、口呼吸によって口が渇いて唾液が減ることで作用がうまく機能せず、細菌やウイルスが増加し感染リスクが高まるとされています。
ウイルスが気になる昨今、口呼吸が増えることは"一定のリスクがある"ということを認識しておきたいです。

唾液にはウイルスをブロックする効果がある

唾液の持つ抗菌・抗ウイルス作用は新型コロナウイルスについても効果があります。唾液には新型コロナウイルスをブロックする抗体があり、感染予防する可能性がわかっています。
この抗体が効果的に働くには、口腔の清潔が必要不可欠です。
また口はあらゆる細菌の入り口のひとつなので、口腔ケアをすることは結果的に全身の免疫力を高めることにつながります。コロナ禍において大切な感染対策のひとつだと言えるでしょう。
※ 出典:日本歯科医師会 口腔ケアで免疫力アップ!ニューノーマル時代の歯磨きの新しい意味とは? (外部サイト)

具体的な口腔ケアの方法

具体的にどのような口腔ケアをすれば良いのでしょうか?
コロナ禍の生活状況をふまえると、以下のような対策が必要です。

●間食への対策
・飲料は糖分を含まないものにし、甘いお菓子類は時間を決めて食べる
・間食した場合は、食後にうがいで口の中を洗い流す

●口を動かさなくなっていることへの対策
・唇や頬、口周りや舌の筋力を高めるために口の体操をする(※2)
・唾液を出す、口の筋力を動かす、食べるものは大きく切り硬いものを増やすなど咀嚼(そしゃく)回数を増やすような食事内容を意識する
・ガムなど咀嚼回数を増やすものを積極的に食べるようにする
※ガムは口を動かすことには効果的ですが、糖分を含む場合、要注意です。噛んだ後にはうがいすることが推奨されます。
※2 出典:日本歯科医師会「マスク生活で気を付けたい口の周りの筋肉の衰え・オーラルフレイル対策のための口腔体操」 (外部サイト)

●口呼吸への対策
・マスク着用中は意識的に鼻呼吸を行うようにする
・口呼吸による唾液の減少を緩和するため、適度な水分補給や唾液腺のマッサージをする

もちろん、すべての基本である歯磨きを見直すことも大切です。

日常における歯磨きの重要性

口の中には体を守る働きをする細菌がいる一方で悪さをする細菌もいるので、歯を守るためには「悪さをする細菌をいかに減らすか」がポイントです。その悪さをする細菌を最も効率的に退治できるのが歯磨きです。
口腔内にできるプラーク(細菌の塊)は歯磨きでないと落とせません。歯磨きで口内細菌をコントロールすることにより、口腔の免疫力を高めましょう。

コロナ禍で注意すべき歯磨きのポイント

口腔ケアの基本となる歯磨きですが、同時にコロナの感染原因となる飛沫への対策も必要です。歯磨きをする際に注意すべきポイントをご紹介します。

●歯磨き前に注意すべきポイント
・よく換気をする
・電動歯ブラシの場合、ブラシ部分はもちろん本体もできるだけ共用しないようにする

●歯磨き中に注意すべきポイント
・飛沫拡散防止のため密にならないようにし、歯磨き中は口を閉じる ※
・口をゆすぐときは、腰を低い姿勢にして静かに吐き出す
※歯磨き時に口を閉じると唾液飛沫の拡散を防止できます。実験の様子を動画でご覧ください。※実験は1分25秒ごろ~


●歯磨き後に注意すべきポイント
・洗面台をアルコール消毒する
・歯ブラシはよく乾燥させ、ほかの人の歯ブラシとくっつかないようにする
・電動歯ブラシの場合、本体を家族で共用しているならばアルコール消毒する、あるいは説明書に指示がある場合はそれに従ってケアをする

まとめ

コロナ禍によって私たちの生活は大きな変化を強いられ、生活習慣が変わったことで口腔環境悪化のリスクが出てきています。
口腔ケアは短期的な感染対策や中長期的な身体の健康にとって、大切な取り組みであると言えます。毎日のケアを今より少しだけ意識してみてください。ケアするなかで何か気になることがあれば、かかりつけの歯科医に相談しましょう。

制作協力
槻木恵一(神奈川歯科大学副学長(統括補佐)・研究科長) (外部サイト)
1967年12月東京生まれ。歯科医師、口腔病理専門医・指導医。2007年4月より神奈川歯科大学教授。専門は環境病理学、唾液腺健康医学、in vivo感染モデル実験。神奈川歯科大学副学長、大学院研究科長を歴任。テレビなどで口腔ケアの重要性と唾液の働きを唾液力と命名しわかりやすい解説が好評を得ている。腸-唾液腺相関を発見し、唾液腺健康医学を提唱している。2021年日本唾液ケア研究会を立ち上げ理事長に就任。

公益社団法人 日本歯科医師会 (外部サイト)

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