みんなの宇宙

きぼうを見よう! -宇宙編集部の観測体験記-

 

構成・文:宇宙編集部


"きぼう"をこの目で見ることができる!?


それは宇宙に関する情報収集をしようと、いつも通りTwitterを眺めていた11月中旬のこと。来る11月19日の"ほぼ皆既月食"を控えて盛り上がるタイムラインにとあるツイートを見かけた。

「ちょうど"ほぼ皆既月食"の頃にはきぼうも見られそうですね!」

ん、「きぼう」とは、最近まで星出彰彦飛行士が滞在していたあれのこと!? 気になってツイートに付けられた「#きぼうを見よう」なるハッシュタグを遡ると、そこには一点の「きぼう」の光が浮かんだ夜空の写真がたくさん。なんと「きぼう」のある国際宇宙ステーション(ISS)が、地上から肉眼で、しかも数週間に一度の頻度で観測できるというのだ。

日頃、空に飛行機を見つけるだけでもなんだか嬉しいのに、遠い宇宙に浮かぶISSが見られるなんて最高にワクワクする! よし、宇宙編集部もきぼう観測に挑戦だ!

かくして一念発起したのだが、ここでふとあることを思う。そもそもニュースでも耳にするから知った気になっていたけれど、「きぼう」って実際にはどういう施設なんだっけ? まずはこれをいい機会に、「きぼう」について、そしてそれがあるISSについて簡単におさらいすることにした。

そもそも「きぼう」ってなんだ?


国際宇宙ステーション(ISS)は地上約400キロメートル上空に建設された、宇宙にある唯一の有人実験施設。米国・ロシア・欧州・カナダなど、日本も含めた世界15ヶ国が参加し、互いの協力のもとに運用をしている国際プロジェクトだ。

なんとサッカーコートほどもあるというこの巨大な施設を構成するのは、実験や研究を行うための「実験モジュール」や、最大7人の宇宙飛行士が暮らせる「居住モジュール」、電力を作り出す「太陽電池パドル」などなど......各国が作り上げたパーツたち。そして、その一部として日本が開発・建設したものこそ「きぼう」日本実験棟。重力が非常に小さい宇宙ならではの特殊環境を活かし実験や研究に取り組んだり、宇宙から地球の自然環境を見守ったり。地球での生活や人類の発展に貢献する、まさに私たちの希望となる活動がここで行われているのだ。


地上からISSが見える条件


遠い空の向こうで私たちの仲間が研究に励むことを知ると、俄然この目で見て応援したくなる。ただ、ISSを見るためには、大きく3つの条件があるという。

①空が晴れている時
ISSは雲より高い宇宙空間を飛んでいるため、曇っていると地上からは見えない。

②自分の上空付近をISSが通過する時
ISSの飛行経路は、地球を周回するごとにどんどん変化していく。それゆえ、ちょうど日本上空を通過するタイミングを図る必要がある。

③自分がいる場所は夜で、一方のISSは昼の時
地上では昼間は星が見えないように、夜の間しかISSの輝きは見ることができない。その一方で、ISSは月や金星などと同じように、太陽の光を反射することで明るく輝く。つまりISSを地上から見るためには、それに太陽の光が当たっている時間、すなわちISSにとって昼の時間である必要があるのだ。

「#きぼうを見よう」を使って、いざ、きぼう観測!


「きぼう」は肉眼で気軽に見られるとは言ったものの、正直なんだか複雑......。そう思った人もご安心を。「#きぼうを見よう」を使えば、自分が住むエリアからISSがいつ見られるのか、簡単にチェックすることができるのだ。
サイトを開いてまず目にするのは、きぼう予報。ISSの軌道と地球の自転の関係、そして太陽の位置など、先にあげた"きぼう観測"における条件を私たちの代わりに計算。まるで天気予報のようにISSが見られる日時をお知らせしてくれる。

編集部の観測地点は東京から。11月18日は、ばっちり見える◎予報だ!
「#きぼうを見よう」がお知らせしてくれるのは、ISSが見える日時だけじゃない。「ARきぼう予報」機能を使えば、スマホを空にかざすだけで、ISSの現在地や軌道予測を知ることができるのだ。初観測の編集部は、ISS通過が予想される17時55分の少し前からスマホを掲げてスタンバイ。少し早かったかな? と思いきや、すでに900人以上もの人が宇宙を見上げていた。日本全国の人たちが一緒に「きぼう」を待っていると知って、ちょっと嬉しい。でも、本当に見られるんだろうか? ISSはどんどん東京の上空に近づいてくる。


ついに、17時55分。 「ARきぼう予報」を信じて空を見つめていると、弧を描きならどんどん進んでいく一つの光が視界に入ってきた。そう、「きぼう」だ!  今までただ漠然と宇宙のどこかに浮かんでいると思っていた存在がこの目に写っているなんて。400kmなんて途方もない距離だと思っていたけれど、宇宙というものは思ったより身近なのだ。それに、この小さな光は地球のみんなが力を合わせて作ったもので、その中には私たちのために活動する宇宙飛行士がいる。そう思いながら見た「きぼう」は、これまでに見たどんな星よりも一際輝いて見えた。

ところで、感動するとともに驚いたのがその進む速さ。90分で地球を一周するということで予想はしていたものの、これが想像以上に速いのだ。観測地点がビルに囲まれていたというのもあるけれど、観測開始から2分後にはいなくなっていた。ならばISSからの地球はどう見えるんだろう? 日記を書いてくれている平野陽三さんが無事に帰還されたら、伺ってみようと思う。

これまで、夜空を意識して見上げるのは「〇〇年に一度の〜流星群」みたいに、一大イベントのときくらいだった。でも、こうして宇宙という存在を近くに感じられる「きぼう」があるのだから、もっと気軽に宇宙を見上げなきゃもったいない。さあ、次に「きぼう」が観測できるのはいつだろう? 毎朝天気予報を見るように、#きぼうを見ようをチェックしようではないか。

・「#きぼうを見よう」公式サイト (外部サイト)


・提供(外部サイト)
宇宙編集部

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