77歳の「ジジ」の代わりにワクチン予約をやって感じたこと

 

取材:小野洋平(やじろべえ) 構成:榎並紀行(やじろべえ) 撮影:森カズシゲ

全国で高齢者のコロナワクチン接種がスタートしてから、およそ1か月。「予約の仕組みが分かりづらい」「予約センターへの電話がつながらない。予約専用サイトにアクセスできない」といった声も聞こえてきます。特に高齢者にはハードルが高く、子どもや孫が代わりに予約を取るケースも多いようです。
横浜市在住のAさんも、その一人。近所に暮らす77歳の「ジジ」の代わりに、大規模接種の予約を取りました。最初にトライしてから3週間後にやっと予約ができたというAさんに、難しかったこと感じたことを語っていただきました。
※ワクチン予約の方法は自治体によって異なります。また記載の情報は5月31日時点のものです。

集団接種、個別接種で異なる予約方法

横浜市に住む「ジジ」のもとに接種券が届いたのは、5月7日頃。予約受付日は5月10日の朝9時からでした。予約枠が更新されるのは毎週月曜ですが、すぐに予約がいっぱいになってしまうため、10日に予約が取れなければ翌週以降に再度トライします。

集団接種の受付は5月10日から、個別接種の受付は大病院が5月17日から、小規模な病院が5月24日からとなっていました。集団接種と大病院での個別接種はインターネットか予約センターへの電話で予約できますが、小さい病院の場合は希望の医療機関へ直接電話をします。

私自身もクリニックに勤めていますが、病院によっては電話が鳴りっぱなしで通常の診療にまで影響が出てしまうため、ワクチン対応ができなくなるケースもあると聞きました。ジジが住む自治体は高齢者が多く、かかりつけ医での個別接種を望む人もたくさんいるでしょうから、どうにか改善してもらいたいところです。
▲ジジ(左)とAさん(右)

予約開始と同時にアクセスするも、すぐに枠がいっぱいに
なるべく早く予約を取ってあげたかったのですが、ジジには持病があり通院しています。そのためまずは、かかりつけ医に「ワクチンを接種していいか」を確認する必要がありました。ただそれを電話で問い合わせても教えてもらえず、あらためて診察を受ける必要があるのです。同じように病院を訪れるお年寄りは多いようで診察の予約は4日後まで取れませんでした。そのため最初の受付日である5月10日の予約は諦めました。
診察の結果、接種しても問題ないとのことでしたので、翌週の5月17日に初めての予約を試みました。最初は集団接種のインターネット予約を試してみましたが、すぐに予約枠がいっぱいになり断念。次に大病院の個別接種予約にトライしても、全ての日時に「×(空きなし)」がついていて......。

「○(余裕あり)」どころか「△(空きあり)」ですらひとつもなくて、これは想像以上にハードルが高いなと思いました。翌週の24日にもネットと電話の両方でトライしてみましたが、状況は変わらず。やはり予約は取れませんでした。

速さ勝負のネット予約にストレスも
ネット予約は正直イライラしてしまう点もありました。まず予約画面は午前9時の受付開始前に開いておくとエラーになります。つまり、あらかじめ必要項目の入力を済ませ待機しておくことができないのです。よーいドンで入力を開始するから、パソコンやスマートフォンの操作に慣れていないと出遅れます。そして、その間にすぐ予約が埋まってしまう。これは高齢者にはとても無理だろうなと感じました。

特に横浜市のような大きな自治体は会場がたくさんあるため、その場で選んでいると時間がかかります。その間にもどんどん枠がなくなっていくから、あらかじめ場所を決めておいて一点集中で突破するしかない。とにかく時間との勝負でかなり焦りました。

また接種券に印字されていた二次元コードからアクセスしようとした時には、そもそも全然つながらずストレスが溜まりました。40分くらい「処理中」の表示が出ていたかと思えば突然パッとつながるから、ずっと目が離せないのです。やっとつながっても、その頃には全ての予約枠が埋まってしまっていて。キャンセルが出るかもしれないから時間をおいて何度もチェックしましたが、その度にやきもきさせられました。

結局、予約が取れたのは最初にトライしてから3週間後の5月31日でした。この日からスタートした大規模接種予約に狙いを定め、9時の予約開始と同時にサイトへアクセスしたところ、今度は1分ほどでつながり無事に予約ができました。

電話がつながらず諦めてしまう高齢者も
ジジの予約を代わりにやってみて、やはり高齢者にはかなりハードルが高いと感じました。私のように近くに代行を頼める身内がいればいいけれど、そうでなければ諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。実際ご近所のおじいさんに「ワクチンの予約、取れましたか?」と聞いたら、「ムリムリ。電話も通じないから諦めたよ」とおっしゃっていました。

私の場合も、たまたま仕事の休みと予約受付日が同じ月曜だったから腰を据えてトライできましたが、人によっては予約のために仕事を休まざるを得なくなるかもしれません。これから現役世代の接種予約も始まりますし、この点は大きな課題のひとつかなと思います。

もちろん自治体によって事情は大きく異なります。横浜のジジ以外に埼玉県桶川市に住む77歳の叔父の予約も私が取りました。横浜より規模が小さいこともあってか、こちらはスムーズにいきました。夕方に私の携帯電話から予約サイトにアクセスし、一発で取れました。
桶川市は集団接種がなく病院での個別接種だけなので、行きたい病院を選ぶだけなのも楽でした。病院を選ぶと、受付可能日が近い順に表示される流れです。かなり分かりやすくて、10分足らずで予約が完了しました。
とはいえ、それでも高齢者にはやはり難しいと思います。現に叔父も自分で予約が取れずに困っていて、たまたま遊びにきた私に頼ったくらいですから。

この先少しずつ改善されていくと思いますが、現時点では高齢者にとって易しいとはいえないシステムです。身近に頼める人がいない場合は、自治体が開設している予約サポート窓口を訪ねるなどして、粘り強くトライしていくしかないと思います。

ネット予約の大まかな流れを確認

最後にネット予約の手順をおさらいしておきます。大まかな流れは以下のとおりですが、予約専用サイトの画面や入力方法は自治体によって異なります。詳しくはお住まいの自治体のホームページから予約受付システムのマニュアルを参照してください。

1.自宅に届いた接種券を開封し、中身を確認する。

2.接種券に同封されたチラシに記載のURLを入力するか、スマートフォンから二次元コードを読み取り、予約専用サイトにアクセス。

3.接種券番号と生年月日(パスワード)を入力し、ログインする。
※初回ログインの場合、メールアドレスの登録が必要

4.接種会場を検索し、検索結果から会場を選択する。

5.選択した会場の予約カレンダーが表示されたら、希望の日時をクリックする。
※「○」は余裕あり、「△」は空きあり、「×」は空きなし

6.予約内容を確認し、確定する。
※登録したメールアドレスに自治体から「予約確認のお知らせ」メールが届いたら、予約確定。

<予約がうまく取れない場合>
電話やインターネットがつながらず予約が取れない場合は、焦らず、時間をおいて、あらためて試してみてください。接種期間は2021年2月17日から2022年2月28日までを予定しており、このスケジュール内であれば、接種券に有効期限はありません。ワクチンが足りなくなって接種を受けられなくなることもありませんので、ご安心ください。

また近隣の病院や接種会場で「空きなし」が続く場合、お住まいによっては防衛省が運営する「ワクチン大規模接種センター」で接種を受ける方法もあります。対象地域など条件を確認のうえ、該当される方は試してみてください。

<身近に予約を頼める人がいない場合>
パソコンやスマートフォンを持っていない、持っていてもうまく使うことができず、ワクチン接種予約が取れていない高齢者などを対象に、自治体などが無料でインターネットでの予約を代行している場合があります。お住まいの市役所にお問い合わせください。 
一方で、区役所職員や保健所職員、市などから委託を受けた業者を装い、予約のサポートを申し出る詐欺の手口も考えられます。不審な電話や訪問があった場合はその場で応じず、お住まいの自治体などへ確認してください。


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