感染が急拡大するオミクロン変異ウイルス。気になる症状が出たらどうすればいい? 症状の判断、検査の受け方

 

制作協力:谷口俊文医師<千葉大学医学部附属病院感染制御部・感染症内科>

感染拡大が気になるオミクロン変異ウイルス。感染力の強さから、ワクチンを接種していても感染するケースが増える一方で「感染しても重症化しにくい」という情報もあります。2回のワクチンを接種していても気になる症状が出た場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
※2022年1月14日段階の情報をもとに作成しています。

今わかっているオミクロン変異ウイルスの状況

―12月までと比べて感染状況、入院者数など医療現場の様子はいかがでしょうか? 報道のとおり感染状況に関してはかなり大きな感染拡大となっていて、20代の若者を中心に感染が増えていることがわかっています。肺炎を発症する中等症から重症の患者さんは今のところ少なく、現時点では少しずつ増えてきているという印象です。若者を中心に感染が広がったため、これから高齢者や基礎疾患をお持ちの方に感染がシフトし重症患者がじわじわと増えてくると考えられます。
また軽症の若者で感染がものすごく広がっているため医療従事者の感染が多いです。医療従事者は感染者が減少した11月、12月も基本的な感染対策を継続していましたが、普通に生活していますので、感染した当事者となったり濃厚接触者となったり、隔離のための就業制限をうけるのが直近の問題になっています。

―オミクロンは初期症状がわかりにくいと聞きますが、感染した際の症状を教えてください。 これは非常に難しく、本当に風邪の症状とほぼ同じです。熱が出て、咽頭痛、上気道症状(鼻水、鼻づまり、咳など)がでます。またこれまでの変異ウイルスのように下気道症状(肺炎による息苦しさ、酸素低下など)が出る患者さんが少ないとされており、味覚・嗅覚異常のような特徴的なサインが少ないです。新型コロナが感染拡大している地域であれば、一般的な風邪のような症状がでればまずはオミクロン感染を疑うという判断が良いでしょう。

―ワクチン接種者と未接種者や子どもで症状は異なりますか? ワクチン接種者では無症状の方もかなり多いのではないかと思われます。ただしワクチン2回接種を終えていても発症する方は何人もいて、接種者と未接種者で症状に差はないように思います。
また米国のデータ等をみると上気道を中心に感染するということがわかってきました。子どもで問題視されているのが、「クループ」という喉頭の周囲が炎症によって狭くなる症状です。犬の吠えるような咳、嗄声(しわがれ声)、喘鳴(呼吸時にヒューヒューという)といった症状が米国ではでてきています。クループは重症になればステロイドによる治療、酸素投与や場合によっては人工呼吸器が必要となってしまいます。

―「重症化しにくい」という話も聞きますが、やはり「ただの風邪」と安易に考えることは危険なのでしょうか? 現在、重症化リスクがある患者さんが病院に来た場合、重症化を食い止めるために治療をしています。中和抗体「ソトロビマブ」や抗ウイルス薬「レムデシビル」など治療の手段が増えてきていることもあって、肺炎が悪くなって人工呼吸器が必要になるほどの重症化を食い止めている可能性が高いです。一方で米国のデータを見るとオミクロンは入院リスクが52%減少、重症化74%減少、死亡が91%減少となっており、デルタよりも重症者が少ないことが指摘されていますが、感染力が非常に強いので、より多くの人が新型コロナに罹患し感染者の絶対数がこれまでよりも多く増えることがわかっています。米国や英国では変異ウイルスがオミクロンに置き換わっているなかで、ICUのベッドの使用率が非常に高くなっていると聞きます。
「重症化しにくい」けれど、重症化する人はいます。感染の絶対数が増えれば、重症化する患者さんは増えてきて医療ひっ迫につながりますので、やはり気を付けなければなりません。
感染の絶対数を減らす努力はやはり必要なため、ワクチンの接種とともに3密を避ける、マスクの着用、手指衛生の励行などの今までどおりの感染対策を継続していったほうがいいと考えます。

―やはり「ただの風邪」と考えるのではなく、コロナ感染には引き続きの感染対策が必要なのですね。では疑わしい症状が出たらどのように対処すればいいでしょうか まず自分に重症化リスクがあるかどうかを知っておいてほしいです。高齢者、BMIが30を超えている方、免疫抑制薬を飲まなければならない方、心臓・腎臓・肺などに疾患がある方などは速やかに検査をして、陽性であれば早めに治療を受けることが大事です。そのため、疑わしい症状がでた場合にはすぐにかかりつけや発熱外来を受診しましょう。
他には、重症化リスクがある方が家族にいる方や小さなお子さんがいらっしゃる家庭の方も早めの検査を行い、陽性になった場合には家庭内で適切に感染対策を取れるようにしましょう。感染拡大している地域では、新型コロナの検査のためにかかりつけ医や発熱外来に検査目的で人が押し寄せてしまい、なかなか検査できないこともあります。本当に受診が必要な人が速やかに受診できるように、重症化リスクのない方で体調が気になる場合は薬局などで発売されている抗原定性検査キットなどをうまく利用しましょう。明らかに体調が悪い場合や、発熱に伴う激しい咳や呼吸困難など下気道症状が出てきたら、速やかに医療機関を受診してください。


コロナ感染の検査について

―いまコロナ感染の陽性・陰性を判定できる抗原定性検査キットが全国の薬局で販売されていると聞きます。抗原定性検査キットは買っておいたほうがいいですか? 安心のために症状がないときに買っておいてもよいかな、という程度だと思います。体調が気になる場合のセルフチェックとしての使用が想定されています。
検査キットで陽性となっても確認のために医療機関を受診して確定診断をしなければならないため、原則としては症状がでたときに医療機関を受診する流れで問題ありません。何らかの理由で検査を受けることが難しい場合であれば、軽い症状のときのセルフチェックとして買っておいてもいいと思います。体調が悪いことを自覚した場合には、抗原定性検査に頼らず、速やかに医療機関を受診する必要があります。

選ぶポイントがすごく大切で、薬局には研究用と体外診断用医薬品とがありますが、研究用は「診断に用いてはならない」と明記されています。厚生労働省はポスターも作って体外診断用医薬品が望ましいということを推奨しているのですが、在庫が少ないようでなかなか手に入らないとも聞いています。体外診断用であれば精度が管理されているのでいいのですが、研究用は製品によって精度のばらつきが大きいので、コロナ感染の診断のために研究用を使うくらいなら検査キットを使わないほうがいいかなと思います。

―感染の判断に使うなら「体外診断用」の抗原定性検査キットが必要ということですね。検査キットを購入した場合、どういうタイミングで検査をしたらいいでしょうか。 自覚症状が出てから検査するのが大事です。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、無症状のときに検査をすると本当に感染していても陰性と出ることがあります。「症状はないのだけど濃厚接触者となって不安だから検査しました」という方がいるのですが、やはり風邪のような症状がでたタイミングで検査していただくのが良いと思います。濃厚接触者で症状が出た場合には検査を受けるべきですが、なるべくかかりつけ医や発熱外来を受診していただきたいと思います。


コロナ感染者の治療薬について

―治療薬の承認が進んでいる、など報道で見かけますが、コロナに罹患して病院で診断を受ければ誰にでも治療薬が処方されるのでしょうか。 コロナの経口治療薬は、現在1種類のモルヌピラビルしか使用できなく、医療機関や薬局の登録制となっています。登録されている医療機関でコロナの罹患が診断された場合、肺炎や呼吸不全を起こすような重症化リスクがあるかどうかをまず判定します。重症化リスクがあると考えられる場合は、入院や外来によって点滴注射で薬を投与する形の中和抗体の治療ができるかどうかを検討し、何らかの理由で中和抗体の治療ができない場合は経口治療薬を処方します。それも重症化リスクの可能性がある方に限った処方です。薬局から自宅に届ける形になり、基本的には自宅で経口治療薬を飲むことで治療します。
重症化リスクの少ない方については治療薬の処方はなく、熱に対する解熱剤や咳止めなど対症療法のみですが、多くの方はこれで良くなっていきます。
新型コロナウイルスはインフルエンザと比べられることが多く、インフルエンザは感染したら抗ウイルス薬で治療されることが多いのですが、今のところコロナはそういう治療ではなく、重症化リスクの有無を判断するのが先になります。肺炎を発症する前に治療薬によって肺炎を防ぐというのが中和抗体や経口治療薬です。第3波や第5波は病院のベッドが足りなくて入院できずに自宅で肺炎を起こしてしまうケースが多かったのでそれを避けたいというのが今一番の取り組みです。診断が遅れてしまって肺炎を発症してしまった場合は入院をしてコロナの治療薬として使われているレムデシビルなどが投与されることとなります。


制作協力
谷口俊文(医師)
専門はHIV感染症、移植感染症や一般感染症。2001年千葉大学医学部卒。2013年千葉大学大学院医学研究院にて医学博士取得。現在は千葉大学医学部附属病院感染制御部・感染症内科に所属。

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新型コロナウイルス感染症まとめ -Yahoo!ニュース

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