花粉症とワクチン接種、コロナ罹患――症状の違いは? どの症状で何科の病院にいけばいい? ワクチン3回目接種の副反応や効果への影響は?

 

制作協力:黒川 友哉<千葉大学医学部附属病院 臨床試験部 助教、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門医>

スギ花粉がピーク時期を迎えつつあります。昨年の今ごろ流行していた新型コロナ変異ウイルスと異なりオミクロンは鼻水やくしゃみなど上気道症状が多いとされ、いわば花粉症の症状とオミクロンの症状が似ています。症状の見分け方や、症状に応じて何科に受診すればいいのかを日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門医の黒川友哉先生に伺いました。
※2022年3月3日段階の情報をもとに作成しています。

―風邪や新型コロナなどのウイルス感染と花粉症はどちらも似たような症状がでますが、共通することと異なることを教えてください。 まず共通しているのは、異物が体の中に入ってきて細胞に悪さをするということです。
風邪や新型コロナの場合は、ウイルスが粘膜に入り、粘膜の細胞のなかでウイルス自体を増やそうとします。そこで体の免疫がウイルスを攻撃しようとして、感染したところに免疫細胞が集まってきます。免疫細胞を集めるために粘膜の血流が増えて、喉や鼻の粘膜が赤く痛みを伴ったり熱を起こしたりと、ウイルスと戦うための炎症反応を起こします。

一方で花粉症やアレルギー性鼻炎の場合は、異物であるスギやヒノキといったアレルギー物質が入ってきて鼻の粘膜にくっつくのですが、そこで引き起こされるのは「アレルギー反応」です。免疫細胞が異物を排除しようとするので反応としては似ていますが、そこで集まってくる免疫細胞の繰り広げる反応がウイルスの場合とは異なり、「IgE」という抗体を作り、これが肥満細胞という免疫細胞のひとつに「ヒスタミン」を作らせます。ヒスタミンは鼻の粘膜でムズムズ感を生み出し、鼻水や鼻の粘膜をむくませる起点となる物質ですが、ウイルス感染のように熱を出すということはありません。

粘膜がむくむので、ウイルスの症状と同じように、鼻づまりや嗅覚障害は起こります。 鼻がむくむことで空気の通りが悪くなり、匂いのセンサーが集まる「嗅裂(きゅうれつ)」という鼻の天井にあたる部分に匂いの分子が届きにくくなり、匂いを感じにくくなるという仕組みです。また味覚の7~8割は嗅覚が影響しているといわれているため、匂いが鈍くなると味覚も鈍くなります。嗅覚・味覚異常はデルタまでの新型コロナ変異ウイルスと共通する症状とされていました。
また鼻の粘膜に炎症が起きると頭痛を感じることが多いので、花粉症で頭痛が生じることもあります。オミクロンの症状としても頭痛はよく知られており、まさに共通する症状です。
「コロナ禍での花粉症対策をわかりやすく解説」 - Yahoo! JAPANより引用
―鼻水やくしゃみ、頭痛などはオミクロンでも花粉症でも起きるということですね。症状の見分けがつきにくそうですが、明確に違う点を教えてください。 ひとつは熱の出方が異なります。オミクロンでは7~8割の人で熱が出るといわれています。花粉症で熱が出ることはほぼありませんので、熱はひとつの見分けポイントといえます。

もうひとつは咳です。花粉症は異物が入って鼻がむずむずすることでくしゃみを引き起こしますが、咳はあまり起きません。一方でウイルス感染により喉や気管が炎症を起こして生じるのは咳ですので、これもひとつのポイントかもしれません。 あとは花粉症だと、鼻や目のかゆみがより強くでます。ウイルスの風邪でも目がかゆくなる場合もあるのですが、むずむず感というのは花粉症特有かなと思います。

ウイルスは粘膜を介して人に感染することが知られており、花粉症の時期は目や鼻がむずむずして手で目や鼻の粘膜を触ってしまうことでウイルスが感染しやすくなるので、花粉症の人はなるべく早く花粉症薬をはじめるなど対策を講じていただきたいなと思います。 また鼻水での違いとして「花粉症は水溶性のさらさらした鼻水、ウイルスはどろっとした鼻水が多い」と言われることも多いのですが、人によって差が大きいので判断の根拠にはしづらいように思います。
画像:アフロ

―花粉症を発症しながらオミクロンにかかるケースもあると思います。どのような症状になったらどの病院にかかればいいのでしょう。 どちらかわからなくても、耳鼻咽喉科を受診していただいて問題ありません。耳鼻咽喉科頭頸部外科学会でもコロナの症状について全国の耳鼻咽喉科医と情報を共有していますので、コロナウイルスでも花粉症でも両方対応できます。
発熱があったとして、もしかしたらコロナウイルスかもと思ってもまずお近くの耳鼻咽喉科で相談するのは初手としておすすめできます。
使い分けるとしたら、咳が続いて息苦しさも感じる、肺炎になっているかもしれないとなったら、大人であれば内科や子どもは小児科のほうが、肺のレントゲンなどの対応がはやいとは思います。
―花粉症でありながらオミクロンに罹患したら、症状が悪化することはありますか? データがないと思うので断言は難しいですが、花粉症とオミクロン感染による発症メカニズムがそれぞれ異なり、同時に症状が起こりうるので、両者に共通する鼻水、鼻づまり、頭痛といった症状はよりひどくなる可能性がありそうです。 やはり花粉症があるとわかっている人は早めに耳鼻科を受診して薬をもらっておくのが賢明かなと思います。
―花粉症の薬がオミクロンにかかったときに症状を悪化させるなど影響を与えることはありますか? 花粉の薬が新型コロナ感染に悪影響を及ぼすといったデータもありません。「ステロイドの点鼻薬をやっていると、感染症を起こしやすくなるんじゃないか」という心配も不要かなと思います。特にそのようなデータはありませんし、点鼻薬のせいでオミクロンに感染しやすくなるというデータもありません。花粉症症状に処方される抗ヒスタミン剤や舌下免疫療法も特段心配しなくて大丈夫です。
画像:アフロ


―ワクチン3回目接種を予定していますが、ワクチンの副反応で花粉症症状が悪化することはありますか? ない、と言えると思います。ワクチンによって体内で作られる抗体がアレルギー反応を強く引き起こすという報告はありません。
花粉症症状とワクチンの副反応に共通することとして、眠くなるとか倦怠感についてはひどく感じる可能性があるかもしれませんが、お薬の作用メカニズムとしてワクチンの接種がアレルギー症状を悪くするものではありません。

―花粉症の薬がワクチンの副反応や効き目に影響を与えることはありますか? ないです。花粉症の薬がワクチンによる抗体産生を抑えることはありません。花粉症の薬は免疫細胞の働きを抑えるものではなく、免疫の暴走によって過剰に作られるヒスタミンの働きを抑えるものなので、ワクチンによる抗体産生への影響はないでしょう。ワクチン効果については心配ありません。

―花粉症予防とオミクロン感染予防で選ぶべきマスクは異なりますか? どちらを予防するにしても「不織布マスク」が一択です。
ウレタンマスクによる新型コロナウイルス感染への効果が期待できないのはもちろんのこと、花粉予防にも粒子の捕集率を高める加工が施されている不織布マスクに越したことはありません。
画像:アフロ

制作協力
黒川 友哉
千葉大学医学部附属病院 臨床試験部 助教
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門医
千葉大学医学部卒業後、国立病院機構 千葉医療センター、千葉大学医学部附属病院、東京都立駒込病院を経て、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 新薬審査第5部 審査専門員。その後、千葉大学大学院 医学薬学府 博士課程を経て、現在 千葉大学医学部附属病院 臨床試験部 助教及びPMDA 定期専門委員

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