専門医が答えます「子どものコロナワクチン」よくある7つの疑問

 

5~11歳のお子さんへ、新型コロナワクチンの小児接種が始まっています。12歳以上のような「努力義務の規定」が適用されていないことから、接種させるか迷う保護者の声をよく聞きます。そこでおふたりの小児科医に、小児接種へのよくある疑問7つに回答いただきました。接種判断のひとつとしてお役立てください。 ※2022年4月4日現在の情報をもとに作成しています。

回答いただいた先生方(順不同 敬称略)

[写真左] 紙谷聡(かみだに さとし):エモリー大学小児感染症科助教授。日本・米国小児科専門医。米国小児感染症専門医。
[写真右] 岡田玲緒奈(おかだ れおな):千葉大学医学部附属病院 小児科。小児科専門医、博士(医学)

疑問1:子どもは感染しても軽症で済むと聞いているが、ワクチンの接種は必要?
■世界で感染が続く限りリスクは続く ──紙谷
■子どもが無防備な状況が避けられればより安心 ──岡田


紙谷聡
子どもは「みんな軽症で済む」のでなく、「大人と比べて軽症で済むことが多い」が正しい理解です。言い換えると、まれではありますが子どもでも重症になることがあります。事実、厚生労働省に20歳未満の死亡11例(基礎疾患のない例も含む。2022年3月29日現在)が報告されていますし、新型コロナの自然感染による心筋炎も日本小児科学会より報告されています。
重症化以外にも、自然感染後の新型コロナ後遺症(倦怠感などの長期症状)や全身に炎症を引き起こす多系統炎症性症候群などが子どもにおいても問題になっています。こうした万が一の事態から子どもたちから防ぐためにmRNAワクチンは有効です。
また、ワクチンによってコロナ後遺症を防げる可能性も大人での研究(※1)で示唆されています 。5~11歳における最新の研究(※2)では、ワクチンの効果が減弱するオミクロンに対しても約70%の入院予防効果が示されています。この効果は、インフルエンザワクチンの入院予防効果が約40~50%であることを考えると依然として高い効果を維持しているといえます。
今後、世界で感染が続く限り日本での感染リスクは続くため、自然感染するかワクチンを打つかでしか免疫を獲得できないことを考慮すると、ワクチンを接種して大人だけでなく子どもたちも守ることは大いに意義があると考えています。
(※1)英国保健安全保障庁(PDF 英語 外部サイト) (※2)The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE(英語 外部サイト)


岡田玲緒奈
子どもは大人と比べると、重症化する頻度が低いのは事実です。しかし、重症化しにくいことと、重症化しないことはまったく別です。日本では多くの人の感染対策のおかげで全体の感染者数が米国などと比較して少なく抑えられました。同様に、小児の感染者数全体が少なくなり、その中から低い割合で発生する重症になる方の絶対数が少なくなっています。
それでも第6波は小児の感染者が多くなり、厚労省の直近のデータ(※3)では2022年3月23日〜29日の期間に全国で10歳未満の重症者が6名把握されています。また、これは肺炎としての重症の定義に当てはまる症例ということですから、高熱がずっと続いてぐったりしてしまったとか、飲食ができなくなってしまったとかで入院するような症例は数に入っていません。
残念ながら命を落とされた方もおられ、日本でも10歳未満の方3名が犠牲になっています(2022年3月29日現在)。ちなみに米国では14歳以下の方600人以上が命を落とした感染症です(2022年3月26日現在 ※4)。
かといって現状の対策を延々と続けて、日本での感染者数を抑え続けるというのは現実的と思えません。対策を緩めていくとどうしても感染者数が増えますから、そのときに子どもたちがまったくの無防備であるという状況は避けられれば、より安心なのではないかと考えています。
(※3)厚生労働省「データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-」(外部サイト) (※4)CDC(英語 外部サイト)



疑問2:我が子はアレルギー体質。接種しても影響ない?
■基本的に接種可能、会場の対策も万全 ──紙谷
■重いアレルギーは、まれと言って良い水準 ──岡田


紙谷聡
アレルギー体質であってもなくても、ワクチンに対してアレルギーの反応がでてしまう方はいらっしゃいます。しかし、厚生労働省の報告(2022年3月 ※5)によると、その頻度はmRNAワクチンで100万回1回目接種あたり2~5例程度であり、これは年間に雷に打たれる頻度と同じくらいの極めてまれなものです。したがって、ワクチン自体やその成分(例えばポリエチレングリコール)にアナフィラキシーなどの重度アレルギーの既往がある方以外は、基本的にはmRNAワクチンを接種できます
万が一、アレルギー反応がでた場合も、ワクチン接種会場や医療機関ではアレルギー反応に対する治療薬が整備されており、安心して接種できると思います。また、接種後は指示された時間まで接種会場に留まり、念のためアレルギー反応がでないかどうかを確認することが大切です。
(※5)厚生労働省「第77回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会資料」(外部サイト)


岡田玲緒奈
今回のワクチンでみられる重いアレルギーは、まれと言って良い水準です。報告により多少の前後はありますが、接種100万回に5例(0.0005%)程度です(※6)。発症者はもともとアレルギー体質の人が多いのですが、これだけ頻度が低いことからすると、アレルギー体質の人に限ってもごくごく低い確率と言えます。過去にアナフィラキシーなど重いアレルギーを起こしたことのある人は、会場での接種後待機時間を通常の15分でなく30分としています。
なお、今回のワクチンの成分に含まれるポリエチレングリコール(PEG)がアレルギーの原因物質ではないかと考えられており、PEGアレルギーの既往があれば接種は1回目から禁忌(※7)です。とはいえPEGは歯磨き粉、化粧品など身の回りの物にしばしば含まれており、これに対してアレルギー歴のある人は非常に少ないと考えられます。
(※6)JAMA(英語 外部サイト)(※7)1回目接種で重いアレルギーを起こした場合は2回目以降接種できない。


疑問3:5歳の我が子は体格が小さめ。11歳の子と同じ量を接種して問題はない?
■抗体量、副反応とも問題なしと考えてよい ──紙谷
■ワクチンは体重換算で投与するものではない ──岡田


紙谷聡
5~11歳の子どもには、大人の3分の1の量のファイザーワクチンを接種します。厚生労働省の資料(※8)などによると、5~6歳のグループと7~8歳、9~11歳のグループを比較しても、ワクチンによる抗体の量はほぼ同等であり問題ありません。一方、2回目接種後の副反応の頻度は、5~6歳のグループでは発熱(8.6%)や嘔吐(2.7%)のみ他のグループより微増していますが、倦怠感、頭痛、下痢、筋肉痛などは頻度が少なくなっています(例:頭痛は5~6歳で19%、9~11歳で33%)。したがって現時点では、副反応の面でも特にこの年齢で問題となる点はないと考えてよいでしょう。
(※8)厚生労働省「小児(5-11歳)の新型コロナワクチンの有効性(審査報告書)」(PDFファイル 外部サイト)


岡田玲緒奈
そもそも、5〜11歳用のファイザー社製のワクチンの主たる成分(mRNA)は、12歳以上の3分の1の量になっています。ワクチンは一般的な多くの医薬品と異なり、血中ないし目的の臓器での濃度をしっかりあげるような仕組みになっておらず、そもそも体重換算で投与するものではありません
なお、一般的に赤ちゃんに接種するワクチンも、接種開始の2カ月(約5kg)と、1歳(約10kg)で量を変えることはありません。


疑問4:我が子はもうすぐ12歳。誕生日まで待って大人と同じ量で打ったほうが良い?
■年齢に応じて速やかに接種を ──紙谷
■待っている間に感染しては元も子もない ──岡田


紙谷聡
接種を考えた時点で11歳であれば11歳用のワクチン、12歳であれば12歳用のワクチンを接種することをお勧めします。5~11歳では大人の3分の1の量を接種しますが、大規模の研究(※9)では大人量を接種した16~25歳と比べてもワクチンによってできる抗体量はほぼ同じであることがわかっています。ただ、大人と同じ量を接種する12歳以上において、効果や持続性がある程度高まる可能性はある(※10)のですが、その分発熱などの副反応の頻度もある程度増えてしまいます(※11)。また、待つことでワクチン接種前に新型コロナにかかってしまうリスクも考慮すると、やはりお子さんの年齢に応じて、速やかに接種を行うことが重要です。
(※9:The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE(英語 外部サイト)(※10:CDC(英語 外部サイト)(※11:CDC(PDFファイル 英語 外部サイト)


岡田玲緒奈
これはその時の周囲の流行状況(つまり感染するリスク)も判断にかかわるので一概には言い難いところです。12歳以上での副反応の頻度は、5~11歳より高いです。これは有効成分が前述の通り3倍違うことも影響していると思われます。ただし、これによって有効性も高くなっているという研究結果もあります。あえて一般論を述べるとすれば、打てる時に打てるものをなるべく早く、ということにはなります。待っている間に感染してしまった、では元も子もなくなってしまうからです。


疑問5:接種を嫌がる我が子に、うまい説得方法を教えて
■まず保護者が正しく理解を ──紙谷
■何を嫌がっているのかよく聞いて ──岡田


紙谷聡
大人でも苦手な方がいる注射を、子どもが嫌がるのはとても自然なことです。説得するというよりも、なぜ接種をするのかを子どもなりに理解してもらうことが大切です。理解力は年齢によってかなり異なるので、一概に魔法のような方法はないと思います。まず保護者が、なぜ接種させたいのか、どのような利点・リスクがあるのかを知り理解することが重要です。信頼できる情報源(※12)を参考に、子どもの年齢に応じて、優しく簡潔に伝えるとよいでしょう。毎年インフルエンザワクチンを接種しているなら、同様と伝えるとイメージしやすいと思います。また、接種をするかかりつけの小児科の先生や看護師さんに直接説明してもらうことも、安心や理解につながるかと思います。
(※12:厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」教えてドクター「コロナ対策下で子どもたちを支えるために」(PDFファイル)、こびナビ「こどものワクチン接種」など(以上、外部サイト))


岡田玲緒奈
まず、説得する、というスタンスでない方が良いかもしれません。お子さんが何を嫌がっているのかよくお聞きになって、それが正確でない情報に基づくものであればそれを訂正してあげる、あるいは解消の困難なものであれば、よく話し合ったうえで接種を見合わせるという選択肢もありえます。


疑問6:ワクチンの抗体はいつまで有効? 今後も複数回打ち続けた場合、将来への影響は?
■5~11歳の追加接種は臨床試験中、今後推奨の可能性 ──紙谷
■データをみながら最適な回数・間隔を見極め ──岡田


紙谷聡
大人や12歳以上の子どもにおいて、mRNAワクチンの効果は、初回(1回目・2回目)接種後から約6カ月までに効果が次第に弱まっていきます(特にオミクロン株に対して)が、追加(3回目)接種をすることで効果が回復することが知られています。そのため、厚生労働省は12歳以上を対象に、初回接種から6カ月(64歳以下の方は基本7か月)後に追加接種を推奨しています。5~11歳の追加接種は臨床試験中(2022年3月現在)ですが、今後日本でも推奨される可能性はあります。12~17歳での追加接種では2回目接種時と比べて心筋炎の頻度は少なくなっており、その他の副反応もおおむね同程度、もしくはわずかに増加する程度であったと報告(※13)されています。
新しい予防接種に対して将来への影響がないか漠然と不安になる気持ちも理解できますが、こうして追加接種における安全性と効果を慎重に評価したうえで、予防接種の推奨は決定されています。数十年という年月をかけた基礎研究をもとにできあがったmRNAワクチンで、すでに最初の臨床試験の接種から2年が経過し、現在、2億5000万回以上の接種が日本で行われている実績と経験は、高い信頼性につながると考えています。
(※13:CDC(英語 外部サイト)


岡田玲緒奈
抗体だけではこのワクチンの有効性は計れない側面もあり、実際の予防効果を考える方がよいでしょう。現在流行している変異体(オミクロン)は、ワクチンや他の変異体への感染でついた免疫から逃避する性質が強く、現行のワクチン接種では完全な感染予防や発症防止の効果はあまり期待しない方がよさそうです。しかし、重症感染を防ぐという一番大事な効果は、最新のある研究(※14)では1カ月経過時点で68%という結果でした(オミクロン流行期の入院予防効果)。5~11歳の、接種からの観察期間はそれ以上の年齢の人と比べるとまだ短く、これがどのように減衰していくのかはまだ確実なことは言えません。ただし、感染によるリスクがこの年代ではもともと低いことを考えると、それほど高頻度で追加接種していくということにはならないのではないかと思われます。日本よりも先行して小児に接種を進めている米国などから出てくる有効性および安全性に関するデータをみながら、最適な接種回数・間隔を見極めていくことになります。現時点(2022年4月現在)では不確定性の高い「今後何回接種するのか」ということよりも、まずシンプルに2回目接種までにつき検討されるのがよいでしょう。
(※14:The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE(英語 外部サイト)


疑問7:我が子が幼く、副反応の症状をうまく説明できないかも。どんな症状が出たら、どう対処すべき?
■接種後のお子さんは気をつけて観察を ──紙谷
■普段の体調不良時と考え方は同じ ──岡田


紙谷聡
おっしゃるとおりです。10代の子どもであれば症状を適切に伝えることができても、5歳のお子さんが症状をうまく説明することは難しいでしょう。5~11歳のワクチンの量は3分の1で、副反応(発熱、疲れ、頭痛など)の頻度は上の年齢と比べて少ないため、症状のほとんどない子どもも多いです。しかし、やはり接種後は保護者が気をつけてお子さんを観察し、いつもと違って元気がなく疲れているようであれば無理をせず、睡眠をとらせるなど対応したほうがよいでしょう。また、体の痛み(筋肉痛、頭痛など)や発熱があれば、解熱鎮痛薬(日本小児科学会ではアセトアミノフェンを推奨 ※15)を飲ませて症状を和らげさせられます。
いずれにしても、これらの症状は数日以内に良くなることがほとんどです。ただし、極めて強い症状や、数日以上持続したり悪化したりする症状、特に心筋炎に関連する症状(胸の痛み、息切れなど)を認めた場合は、すみやかにかかりつけの医療機関などに相談や受診をしてください。ちなみに、主に10~20代で認められているワクチン接種後の心筋炎は、5~11歳の子どもでは極めてまれ(2回接種後で100万回接種あたり男児約4例、女児2例。雷に打たれる確率と同程度の頻度)であることが米国で報告(※16)されています。
(※15:日本小児科学会「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」に関するQ&A」外部サイト)(※16:CDC(英語 外部サイト)


岡田玲緒奈
大前提として5~11歳ではそれより上の年代と比較して副反応の頻度が低い(※17)ことが知られています。臨床試験では、接種した部位の痛み(71%)、倦怠感(39%)、頭痛(28%)、筋肉痛(12%)、寒気(9.8%)などで、発熱はそれより少なく6.5%でした(いずれも2回目接種後の頻度)。熱や痛みには、普段の発熱時に使うアセトアミノフェンなどの薬を使えます。普段の体調不良時と考え方は同じで、元気いっぱいで少し症状を訴えるだけなら様子見、ぐったりするなど心配なことがあればかかりつけ医などに受診、相談されるとよいでしょう。
若年男性で副反応として考えられている心筋炎も、この年代では非常に少なく(870万回に11例 ※18)、自然発生率(ワクチンを打っていなくても発生する頻度)を大きく上回るものではない可能性があります。このため、心配しすぎなくてよいといえるのですが、万が一胸の痛みや息切れなどの症状があればすぐに受診してください。同じくまれな、重いアレルギー(アナフィラキシー)は起こるとすれば接種後30分以内が多いため、接種後15分ないし30分会場で経過をみます。万が一会場を離れてから、広い範囲に蕁麻疹(じんましん)が出る、呼吸がゼイゼイする、せきが止まらない、意識が遠のく、といった症状があれば当然救急車を呼んで構いません。
(※17:The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE 英語 外部サイト)(※18:CDC 英語 外部サイト)

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